任務終了、國稀酒造へ
私たちのお墓参りも、昭和初期にタイムスリップしたかのようなお寺が最後のクリアポイントです。
雨漏りしてびしょびしょのパンチカーペットが敷かれた通路の床は、何故かとても柔らかく、歩くたびに足が沈み込んでいきます。
しかも斜めによじれており、なかなか真っ直ぐ歩くことが出来ません。
三半規管に何かしらの問題があるかのような錯覚に陥ります。
(ああ、子供の頃、親が奮発して連れて行ってくれたアメリカ旅行のヨセミテ公園で、こんなところあったな。磁場が狂ってるとかなんとか。小屋の中でおかしな角度で立ってる写真が残ってるよ…)
まさにミステリースポット、アメリカまで行かずとも体験できるとは。
右に左に揺れながら納骨堂にたどり着き個別の仏壇の扉を開きます。
ちーん、って鳴らすやつの棒がない。
※りん棒といいます。
下に引き出しのような部分を見つけたのでガタガタと引っ張り出してみます。
何も入っていない。
と思わせてからのヘビの抜け殻。
ここで脱皮したんだね。しかもけっこう大きい。ちょっとビックリしたぞ。
とりあえず何もなかったという事でそのまま引き出しを押し込みます。
代用の棒を探し、ちーんと鳴らしてミッション終了です。終わったー!
それでは最北の酒蔵『國稀酒造』を見学していきます。
杉玉が吊るしてありますね。
鉄道ファン向けらしいお土産もありました。
留萌本線、留萌ー増毛間は廃線となってしまったためにミニチュアのプレートやキーホルダーなどが売っていました。
留萌から→瀬越→礼受→阿分→信砂→舎熊→朱文別→箸別→増毛、となっています。「れうけ(礼受)」は売り切れのようです。
資料室のようなものがありました。
比較するものがないのでわかりにくいですが、『一斗瓶(いっとびん)』です。一升瓶が10本分の18000mlです。大きい!
古い道具や酒器、昔に造られていたお酒などが展示されています。
綺麗にライトアップされた一升瓶の棚
『長久』明治〜昭和初期まで販売されていた普通酒
『白鷹』明治〜昭和初期まで販売されていた高級酒
『万歳国稀 』戦後から等級制撤廃される平成4年3月まで販売
若干アルコール度数の高い、やや辛めの二級酒として販売
『乾杯国稀』戦後から等級制撤廃される平成4年3月まで販売
当時辛めの一級であった上撰国稀よりもやや甘めの一級として販売
創業は明治15年
新潟県佐渡から移住し、手広く商売をされていた創業者の本間泰蔵さんが、自家用としてお酒造りを始めたのがルーツという事です。
本州から入ってくるお酒が高価なため、自家醸造を思い立ったとあります。
増毛町暑寒別岳から湧き出る良質な伏流水があったのも大きかったようです。
美味しいお酒はやっぱり美味しい水!からなんですね。
映画『駅 STATION』の主な舞台となった増毛町にとって、高倉健さんは特別な存在です。
ポスターは2014年11月に亡くなった高倉健さんの追悼展の時に作られたもののようです。
映画は1981年に製作されたとありますから、今から36年前の作品になります。けっこう前ですね。
このポスターに付いている手書きの上映案内、味わいがあって時代を感じます。
映画館などないこの町で、頑張って上映したんですね。
さあお次はここです!
いそいそと進みます。
手前がこちらの蔵元でしか買えないお酒です。
運転手は飲んではいけません。
私は運転手ではありません。
自動的に飲むのは私という事になります。間違ってませんね?
ちょっともじもじしていると、親切そうな同じくらいの年頃の女性が「試飲しますか?」と聞いてくれます。
間髪入れずに「はい!」と答え、こちらでしか買えないというお酒を次々と試飲させてもらいます。
色々説明してくれるのを、ほうほうと頷きながら飲み干します。
「おいしいです」
「おいしいです」
「これもおいしいです」
結局あんたは何でもおいしいんじゃないか、と運転手になじられながら2本選んで買ってきました。
純米酒『暑寒しずく』
純米吟醸『北のきらめき』
帰りに水産加工のお店に寄って、これに合う増毛の海産物を買って帰ろう。
その土地同士のマリアージュって、たいてい間違いないものね。
海産物を買ってから、もう一軒目的のお店に向かいます。
『増毛フルーツワイナリー』です。
増毛のりんごを使ってシードルを作っています。
今回ご紹介したかったのですが、少々長くなってしまいましたので、また次回という事にしたいと思います。
美味しいものばっかりで困っちゃうよ。
ホントに。