ボルシチdeロシアごっこ
皆さんは遠い昔、『ごっこ遊び』をしませんでしたか?
チャンバラごっこ、ウルトラマンごっこ、戦隊ヒーローごっこ、お姫さまごっこ、おままごとなんかもそうですね。
ナニガシかの役になりきって振る舞い、しばしその世界観を楽しむ遊びです。
仲間と一緒に楽しむもよし、ひとりぼっちで空想の世界に入り込んでしまうもよし。
空想する力さえあれば、カッコいいヒーローにも美しいお姫さまにも宇宙人でも怪獣でも、何にでもなれる『ごっこ遊び』
しかも元手はほとんどかかりません。
大人になればそのような現実離れした『ごっこ遊び』というのはあまりやらなくなると思います。
それでも、その時に自分がハマっていることや思い入れがあることに自分を寄せていくことはあるのではないでしょうか?
映画や本の世界観にワクワクしすぎてその世界を再現したくなってしまうこと、私はあります。
ということで
今回はロシアの赤いスープ、
を作ってみたいと思います。
ロシア…(゚∀゚)ナンデ急に?
唐突に感じるかもしれませんが、私にとってはそうではありません。
北海道という土地柄もあり、お隣の国ロシアは割と身近な存在です。
去年もロシアの森林火災の煙がこちらまで流れてきていましたし。
子どもの頃、ローカルニュースでは北方領土とのビザなし交流や、ロシアで大ヤケドをして札幌で治療を受け一命を取りとめたコンスタンチン君の話題など、ロシア関連のニュースは珍しくありませんでした。
大人になって繁華街や温泉街に出かけるようになると見かけるのは、ロシアから出稼ぎに来ているロシア人女性。
あれは会社の社員旅行で出かけた某温泉街でした。
二次会の館内の酒場的なところで突如始まったロシアンダンサーショー。
タダの二次会だと思っていたのに、突如始まる艶かしい音楽と怪しいピンクの照明。
露出度高めな衣装を着たロシアの金髪女性がどこかから出てきて、踊りながら客席を回り始めます。
予想外の展開にざわめく女子社員たち。
見れば副社長と事務長が手を叩いて喜んでいます。
やっぱりオマエラか。
※これは今ならセクハラ案件ですかね
しかしそこで私はいらぬ心配に襲われます。
『こんな女の多いテーブルに回ってきたロシアンダンサーはやりにくくないだろうか』
だって女がたくさん見ている場所で、男の人向けのセクシーなダンスを踊るって、本人からしたらイヤなんじゃ?
ひょっとすればアチラさんは慣れっこの状況で何も気にしていなかった可能性はありますが、ちょっと気になって。
ココはひとつ、ロシア人のお姉さんの居心地が悪くないように精一杯盛り上げよう。
そう思いました。
ロシアお姉さんは各テーブルを練り歩き、ビキニの胸元やおぱんつの隙間におひねりを入れてもらっています。
次はいよいよこちらのテーブル。
隣でゆでダコみたいになっている事務長も1000円札を細く折りたたんで準備万端の様子です。
持ち合わせがないのかケチなのか、別の上司はさっきのビンゴで当たった商品券の封筒を持ってスタンバイ。
他の女子社員もロシアお姉さんをキャアキャアと拍手で迎えて、お姉さんのモチベーションを保つことに協力します。
お姉さんの小さい衣装の隙間に、副社長・事務長・その他有志の男性社員が次々とおひねりを挟み込み、お姉さんは無事隣のテーブルへ去って行きました。
おひねりの回収がすんだロシアお姉さんは、最終的に中央あたりにあるらしい舞台(私から見えない)で事務的に全裸になって終了です。
事務長、いつのまにか追加のお札を握りしめて舞台に行ってきたようで、満面の笑みで帰ってきました。
抜け目ないな。
ちなみに商品券を挟んだ上司、封筒ごとロシアお姉さんに返されていました。
上司よ、ロシアお姉さんはね、現ナマの¥しか欲しくなかったんだよ…
と、少しばかり脱線いたしましたが、美談から多少ムニャムニャな話まで、ロシアという国は私にとってそう遠くなかった、というわけです。
そんな私を見透かしたように先日、ロシア生活や料理のコミックエッセイの広告がスマホに表示されました。
素直に買ったよね笑
読んでいるうちにフツフツと
ああ、今ここにロシアの食卓を再現したい!
そんな衝動に駆られました。
いつもながら前置きが長くて、大変申し訳ありません(人´∩`)
やっとここから、
『独りよがりロシアごっこ・ボルシチ編』←※「編」と言っても他には続きません
が始まります。
写真多めで、もうあまりグダグダ言いませんので何とぞお付き合いのホドよろしくお願いいたします。
あ、ちなみに誰かが適当レシピを真似してもなんなので、詳しい分量などは表記していませんw
『よし、ボルシチを作ろう!』
そう思ってレシピを調べたり材料を揃えたりしているうちに、仲良くしてくださっている女性ブロガーさんも同じくボルシチを作ろうとしていることがわかりました。
趣味の良い暮らしやお料理、季節のしつらえはいつも美しく、かといって気取ることなく、社交的で楽しいお人柄の人生の先輩です。お身内にポーランドの方もおり、外国の方とも交流が深い。
「これは分が悪い」
すぐさまその事実に気づいたものの、共にボルシチを作り記事にしましょう!と約束を交わし、先に記事をUPしていただきました。
ボルシチの他に、ロシアのクレープで作るピロシキのレシピも書いてくださっています。
どうも私の雰囲気優先のボルシチだけでは心もとないので引用の許可をいただきました。ありがとうございます!
一生懸命スープストックを作っているという、お身内のポーランド人の方には私のボルシチのことはどうかご内密にお願いいたします。
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さて、ボルシチといえば赤いビーツ。
偶然ですが、私が当初用意したビーツもunibabaさんと全く同じ真空パックのビーツでした。
しかしたまたま近郊で取れた生のビーツを手に入れることが出来、
「なんか…面倒」
という気持ちを振り切って、真空パックは次の機会にまわし、生のビーツを茹でるところから始めました。
30〜40分茹でてくださいとの指示です、
赤い芽が伸びているのもあって、育てたらどんな風になるんだろう?とちょっと興味が湧いたけど茹でちゃう
茹でるとサツマイモっぽいにおいがする。
気がする。
皮はツルッと剥けるというのだけれど、薄い皮はチマチマとしか剥けず時間を食う。
勝手にカブのようなものかと想像していましたが、イモのようなカブのような未体験の野菜でした。
中は真っ赤な渦巻き模様、キレイだね
本場は各野菜は細切りやザク切りにして使うようです。
真っ赤なビーツを刻んだら、まな板が芸術的な感じに。
「私、取り返しのつかないことをしてしまった!!」とサスペンス妄想をしたりしつつ刻み終了。
通報しないでね
水彩画みたいねぇ。
セロリの葉っぱとの対比が綺麗だ
試しにこのまま食べてみると、思ったよりかなり甘みがあります。
ある意味、このビーツを茹でて刻んだところが一番のメインイベントでした。
視覚的な鮮やかさも手伝って、「新しい経験をしている感」が楽しかったです。
使った材料はビーツの他、玉ねぎ・にんじん・じゃがいも・キャベツ・トマト・セロリ・特売の牛中落ちカルビ焼肉用。
レシピでは肉のスープの中に別フライパンで炒めた野菜を入れていましたが、鍋ひとつで終わらせたいので、そこは適当に順繰りに炒めていきました。
お水を入れ、アクをすくいながらコトコト煮ます。
ビーツが入ってスープが赤くなると、いよいよ気分はロシアの田舎のお母さん。
今回は牛肉でしたが、豚肉などでもよく作られるようです。
そして今回は、所謂「出汁」や「ブイヨン」作りは省略しているので、市販品の『ビーフコンソメスープ』を入れてみました。
どこにもピントが合ってない
某航空会社が出しているメジャーなインスタントスープです。これを2袋投入。
普通のコンソメキューブでいいと思うのですが、
牛肉使用なのでビーフブイヨンがいいんじゃないの?
そう思い、代用になりそうな安価なものを探すとコレになりました。
最後にニンニクすりおろし(今回はチューブを使いました)と塩胡椒で味を調えて出来上がりです。
実は、ボルシチの赤い色をちゃんと太陽光で撮りたくて、日の高いうちに作業終了の予定が、モタクサしている間に日が暮れました(›´ω`‹ )
我が家の明かりは暖色系なので、夜は全てがオレンジがかって、ボルシチの紅色も少し違って見えます。
無理に調整しても不自然になるので、ほぼそのままの写真を載せますが、もう少し紅色だと脳内補正してくださるようお願いいたします。
初のボルシチのお味は、野菜の甘みの強いあっさりしたスープでした。優しい味です。
まぁそもそも、本物のボルシチっていうのを知らないんですけど笑
上に乗っているのは『スメタナ』というロシアのサワークリーム、の代用品です。
無糖の水切りヨーグルトと脂肪分40%以上の生クリームを混ぜて作りました。
好みでボルシチに溶かし込むと、クリーミーでよりマイルドになります。
ちなみに太陽光の下だとこんな感じです。
次の日撮影
スメタナ(もどき)を混ぜるとピンク色のスープに。
ボルシチに添えるパンも焼いておきました。
ロシアのパンといえば「黒パン」のイメージですが、本格的な黒パンを焼く技術はありません。
代わりにライ麦比率高めのライ麦パンを焼き、もう一つはたまたま宅配カタログに載っていたドイツの「フォルコンブロート」(写真右の右上)を注文してみました。けっこう安い
なんか、いかにも黒パンっぽかったので雰囲気づくりとして笑
ドイツが混ざったってエエじゃないか。
だって『ごっこ』だもの。
「ハイジの白パン的なパン」も、試したいメニューがあったので少しばかり焼いて。
3種類のパンはそのままスープと食べたり、ロシア風カナッペのようにして食べてみました。
『ニシンの塩漬け』
3枚におろしたニシンの身を、塩と砂糖を1:1で混ぜたものをまぶしラップでなじませ、冷蔵庫で一晩。
私は手抜きで、お刺身から作りました。
ライ麦パンにバターとマスタードを塗り塩漬けニシンを乗せて、玉ねぎ、レモン汁、香草などと一緒に。
シャレ程度に準備してあったウォッカですが、塩漬けニシン味のパンはビールよりもワインよりも、やはりウォッカの方が合う気がしました。
スメタナを乗っけても悪くなかったです。
そしてコミックエッセイで見た、白パンにバターを塗ってイクラを乗せる食べ方。
イクラは本当は塩漬けなのだと思いますが、買うと高いので去年の秋に作って冷凍してあった「醤油漬け」を笑
失敗したってモノは試し。
パクリ。
むぐむぐ。
・・・・・・・
うん。けっこうイケる。
大丈夫、おいしい。
でも、どうにも不思議な感覚が拭えない。
イクラ、パン、バター。
目をつぶって感覚を研ぎ澄ます。
今までの常識から外れた食べ方に、頭の中が少し戸惑っている様子がわかります。
「ねぇ、イクラにはごはんじゃないの?間違えてない?」
いや、今日はこれでいいんだよ。
けっこうウマイだろ?
謎のロシア人が頭の中で囁いて一件落着。
その後はどこかで見た、
『ロシア人のオッサンが大きな入れ物に入ったイクラをスプーンですくって食べながらショットグラスでウォッカを煽る』
を実践して、イクラとウォッカの相性がいいことを確認しました。
ロシアのオバサンらしくエプロンと可愛いほっかむりをして作業にあたれば、もっと雰囲気が出たかもしれないけれど『ごっこ』としては充分楽しめました。
どうせならロシア民謡でも流しながら作ったら良かったかしら?
ボルシチを作りながらずっと流れていたのは米津玄師さんなんですけどね♪
米津さん、草むしりの時もボルシチ作りの時も、ありがとうございます笑!
ではまた次回よろしくお願いいたします☆