へたれダイバーの想い出
今日はいつもと少し毛色の違うお話をしようと思います。
3500文字ほどになってしまいましたが、よろしければ。
最近ブログの更新のスピードを少し緩めたので、読者になっていただいている方のブログをはじめ、はてなのおすすめブログなどを見る時間のゆとりが出来てきました。
そんな中で、輝く青い海の写真がいくつか目につきました。
透明度の高い海、楽しそうな人々、カヤックやサーフィン、スキューバダイビング…
もう秋の気配が漂う中、去りゆく夏は眩しいものです。
『あんな綺麗であったかい海に潜れるなんていいな〜!羨ましい』
羨ましがるのにはワケがあります。私の海の想い出、ちょっと語ってもいいですか?
使っていたログブックが出てきました。
もう少し若い頃、15年位前が最後になりますが、趣味でスキューバダイビングをやっていました。
初めてのダイビングは旅行先のサイパン島での体験ダイビングです。
スコンと抜けた透明度の高い海での体験はとても楽しいものでした。
珊瑚も岩場もない白砂の海底は、魚の姿はまばらでしたが、初めてのダイビングは大満足で終わり、北海道に帰ってからCカードと呼ばれるライセンスを取りました。
その時点ではまだ泳げもしない、超へたれダイバー爆誕です。
南国のリゾート感はなくても、北海道も楽しくてキレイなポイントはあります。
積丹などは『積丹ブルー』などと呼ばれ透明度も高いし、地形も面白いです。時々暖流にのって暖かい海に生息している魚を見ることが出来たりして、満足度は高いと思います。
知床は、羅臼・ウトロといったダイビングポイントがあります。
私はウトロを3回程度しか潜っていませんが、ワイルドなオオカミウオや、可愛いナメダンゴ、フウセンウオなどにも会え、日本海側と違う自然の荒々しさを感じられました。
道南は潜りに行ったことがないので、南の方なのでキレイなのかな〜?なんて想像だけです。
私のホームグラウンドは、主に増毛や雄冬などの日本海で、時々雄武町などのウトロ以外のオホーツク海にも出掛けました。
アマチュアのダイビングはリゾート地で、キャッキャウフフと楽しむもの、というイメージでライセンスを取ったのに、考えてみると私のダイビングライフにそんなシーン、あったっけ⁇
【私のダイビングに関する記憶】
・北の海なので荒れていることも多い
・水温が低い
・鉛色の海は当たり前
・通称「みそ汁」と呼ばれる視界不良
・昆布の生い茂る中を泳ぐのコワイ
・それはそれでいいのだけれど、出会う魚がタコ、イカ、ホタテ、ホッケ、ソイ、カレイ、ウニなどの食卓でお馴染みのメンツばかりで美味しそう
などなど
思っていたのと違う。
どうしてこうなった。
青い海はどこ?
「普段からこういうコンディションの悪い海で潜ってたら、どこへ行っても大丈夫だから」
そう言われ、素直にウンウンと頷く私。
最初に意気込んで買った機材やドライスーツのことも考えれば、簡単にやめてたまるか。
半分以上意地で、6年ほど潜り続けましたが、その後辞めてしまいました。
その6年のうちで、心に残るイヤなダイビングを三つあげてみたいと思います。
①荒れた海の真ん中で、ピックアップしてくれる船が、怪我人を陸に搬送するためにいなくなった
当日のログブックにメモがあった
書いたそのままです。天候も悪く荒れていましたが、潜るのには支障がないという判断で沖に出るも、波はかなり高く、船は大きく上下します。
波の高い位置から低い位置にズドン!と落ちた時、座っている人の体重で、金属製のベンチがひしゃげて潰れてしまいました。
アドバンスの講習(このレベルを取っておけば、大体どこのダイビングポイントでも潜ることが出来る)を受けに来ていたご夫婦のご主人が、ベンチの下に手を入れてしまっていたために手を潰してしまいました。
グローブをはめているので指が千切れるようなことはありませんでしたが、当然の事ながら潜るのは無理な状態です。一刻も早く病院へ行かなくてはなりません。
ということで、「船は一度港に戻るからお前らここで潜ってろ、後で迎えに来るから」と、荒れた海に置いてけぼりです。
ダイビングなんてやっていながら言うのもなんですが、私はチキンなのでバッドコンディションの海は大嫌い。
タダでさえいやいや船に乗ってきたのに置いていくのかーーー!
私も一緒に帰るーーー‼︎
そう言いたかった。
しかもダイビングを終えて海面に浮上しても船はいない。
波間で見えなくなる仲間と離れないように浮きつ沈みつ待つ時間は長かった。
②流氷ダイビング
※写真は網走の流氷をお借りしました
クリオネ可愛いー♡とか言っている場合じゃない。ヘタレなんだから、なるべく危険なことはしたくない。
北海道に住んでるダイバーなら当然だよね?流氷ダイビング。みたいなプレッシャーに負けてシブシブ参戦。
このために新しいレギュレーター(口に咥えるエアを吸うための器具)も買う。普通のレギュレーターだと、流氷下の水温に耐えられず事故の元になるからだ。
モジモジ君スタイルの顔の真ん中だけ出るフードをかぶり、『マグナムブリザード』という、すごいそれっぽい名前のレギュレーターを咥える。
(寒いし行きたくない)
そう思いながら、氷上に開けた穴からガイドロープを伝って入ると早速レギュレーターに不具合の出ている人がいる。
フリーフローという状態になって、レギュレーターから空気が出っぱなしになっている。
水温が0℃を下回っているのでレギュレーターが凍ってしまって起きるトラブルだ。フローしたレギュレーターから空気を吸うのはライセンスを取るときに教わることだが、なるべくならしたくない。
自分は寒冷地用のレギュレーターを使っているのでまずならないけれど、やっぱり流氷下はちょっとコワイな〜と思いました。場数踏んでいる人から見ると、なんてことのないトラブルだとは思いますが。
あっ、真下から見る流氷はキレイでしたよ!クリオネも見たし。
閉所恐怖症のある人だと、水面が流氷で覆われているのでイヤかもしれませんね〜。
③湖での高所潜水
このカードのためにちょっとイヤな目に合う
大雪山国立公園の中にある『然別湖』に、高所潜水のスペシャルティコースを受講するため訪れました。
然別湖は水面の標高が800mを超えるため受講場所に使われます。
ダイビングは通常、バディシステムと言って、二人一組でお互いを確認しながら潜ります。この日も参加者同士、バディを組みます。
淡水を潜るのは初めてです。水底は細かい土が沈殿し、倒木などが横たわり独特な雰囲気です。小魚の群れが時折キラキラと光っていました。
しかしこの日は初心者の人が多かったので、フィンで水底を掻き回し、あっという間に周りは煙幕を張ったようになってしまいました。
もう誰の姿も確認できません。
周りに人の気配はなくなり、バディも見失ってしまいました。
とりあえず視界のきくところまで浮上しようと思ったのですが、装備の何かが引っかかっているらしく、浮上できません。
動けば動くほど、水底の細かい土が舞い上がり視界を遮るので、仕方なくそこにジッとしていることにしました。
幸いなことに水深はそれほど深くないので、最悪着ているBCジャケットを脱いで水面まで上がることは出来そうです。
しばらくすると土が沈殿し、少しづつ視界が戻ってきました。
ダイビングの装備には、オクトパスと呼ばれる予備レギュレーターがあるのですが、それが水底の倒木の枝に引っかかり、浮上を阻んでいたのでした。
ガイドも1人足りないことに気づいていなかったようですが、無事で済んだので何も言わない事にしました。
淡水のダイビングはこれ一回きりですが、もうおなかいっぱいです。
ライセンスを取ってから6年、暖かい海の経験は、石垣島と噴火前の三宅島の二ヶ所だけです。
※写真はお借りしています
マンタもイルカもすごく良かった!
仕事の都合などで仕方のないことだったのですが、ダイビング生活のほとんどを寒い海で過ごした私にとって、暖かい海はやはり憧れです。
もう潜ることはなさそうですが、ヘタレの北国ダイバーが思っていたことを正直に書いてみました。
長いお話を、最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
やっぱり南国の海はダイバーの憧れ♪