ししゃも襲来
こんにちは。はじめまして。
こんにちは。あなた方はどちらさま?
わたくしどもは『ししゃも』と申します。
あっ、聞いたことある!
でもぉ…
ホントは『ししゃも』じゃないんでしょ?
本物のししゃもさんの代用魚の『カペリン』さんなんでしょ?
そんなお高いの、ウチのかあさんが買ってくるわけな…
失敬なっ!
我は畏れ多くもむかわ町の『本ししゃも』であるぞっ!
うわぁ、ちょっと大きな声出さないで。
ビックリする。ごめんなさい。
わかれば良い。
ところで、一番下のヒトのおなかの傷はどうしたの?誰かにやられたの?かわいそう。
それにはね、深い理由があるのだよ…
はい、寸劇そこまで〜!
要するにお歳暮としてむかわ産の本ししゃもを頂いた、そういうことです。
普段はもっぱら「からふとししゃも」または「カペリン」と呼ばれる安価な代打の方々を美味しくいただいております。
本物のししゃも、という存在がいるのも知っています。
北海道太平洋沿岸の限られた地域でしか獲れない、アイヌの神様が食べ物に困った人々のために川に流された柳の葉が魚に変わったものと言われています。
「柳の葉の魚」を意味するスス・ハム、またはシュシュ・ハモに由来し、漢字は「柳葉魚」です。
最も有名なのはむかわ町でしょうか。
2010年にノーベル化学賞を受賞した鈴木章・北海道大名誉教授(88)がむかわ町の出身です。
その弟さんがむかわ町でししゃもの販売店を経営しているのも話題になりました。
あ、今回我が家へやって来たのはむかわ町の違うお店のもので、ノーベルししゃもではありません。念のため。
いただいたのは一串10尾で三串、全部で30尾。
そのうちの一串を、義実家へ夕食の一品にでもしてもらおうと持っていきました。
あらー、むかわのししゃもだなんて楽しみだわ♡
と喜んでもらえたようでした。
次の日、今度は夫が取引先に贈るお歳暮を買いに行くというので、私も一緒に行くことに。
すると、おや?
売り場で貰ったししゃもと同じ箱を見つけました。
種類は3パターンあって内容によって値段も違います。
「値段のチェックとかしないの!」
へぇ〜、ウチに来たのはコッチかなぁ?なんて興味本意に眺めていたらあることに気がつきました。
内訳『メス20尾・オス10尾』
メスとオス?
混ざってたのか…
昨日義実家に持って行く時、みんな子持ちだと勝手に思い込んで持って行ったけど、どっち持っていったんだろう。
やっぱり貰って嬉しいのって子持ちの方だよね?
オスを持っていった確率は1/3。
不安になって、選んだお歳暮の配送手続きを待っている間に夫にメールしてもらいました。
まもなく返信が来て、夫が
「子持ちだって言ってるよ。今晩食べるから解凍中だって」と。
それなら良かったけれど…
しかし一抹の不安があったので、家に帰ってから前日一串分ずつ2袋に分けて冷凍しておいたししゃもを確認することにしました。
そう、お腹の傷は卵が入っているかどうか調べるために確かめたあとなのです。
二つの袋から1尾ずつ取り出して、包丁の刃先でサクッ!と一太刀。
これは…卵入ってるよね?
じゃあもう片方のも一応。
サクリ。
アレ?コッチも入ってる???
卵じゃなくて白子とか?
でもししゃもやカペリンに白子の印象ないし…焼いてみるか。
焼いて夫に食べさせてみました。
「両方とも子持ちだね」
「えぇ〜?お義母さん卵入ってるって言ってたんだよね。どういうこと?」
もしや一串の中でオスメス混ざってるのかしら?
さらに袋からもう1尾ずつ取り出して確認するも卵入り。
「ムッキー!どうなってるの?」
お義母さんはどうやって確認したんだろうか。
もう電話するしかない。
「あのー、度々すみません。ホントにそっちの、卵入ってました?」
「ふっくら太ってるし、メスだと思うよー♪」
(これはちゃんと確認していないとみた)
「…1匹だけお腹切ってもらっていいです?」
「ちょっと待ってねー」
ガサガサゴソゴソ。
お義父さんの声も聞こえます。
やがて電話の背後から
「あれ、入ってない!」
とお義父さんの声。
やっぱりオスじゃん。
夫に言うと、「あんなにちゃんと見てって言ったのになぁ」と苦笑い。
これじゃあ、義父母には子持ちの方を分けなかった鬼嫁👹じゃないですか。
まぁ鬼嫁は冗談として。冗談ですよ?
せっかくなら子持ちの方も食べてもらいたいので、その足でメスを数尾持って行き、お釣りにオスを少し貰って帰ってきました。
やれやれ、一件落着。
※その後我が家でも食べてみましたが、魚として美味しいのはオスの方でした。かえってありがた迷惑だった可能性アリ
オスを回収したあと、シゲシゲと長時間にわたりオスメス両者の顔や風体を見比べて観察したのですが、私なりの見分けポイントを発見しました。
オス→体が大きめで色が濃い、なんだか男らしい
メス→オスより小さめ、色も淡くて
優しげな風情
ですよね?
大変フンワリとした判断基準です。
そうそう、思い出した!
義実家に持っていく時にどの串が一番良さそうかな?と思って、一番魚体が大きいのが揃ってる串を持っていったんだっけ。
だからオスだったのか!
(鬼)嫁の気遣い、空回りです。
でもこれからはもう、ししゃもトラップに引っかかることはありません。
大きくて男らしいのがオス、柔和な表情がメス
このザックリ基準に沿っていくらでも選別してみせます(゚∀゚)!
まあ、またしばらくはホントのししゃもに巡り合えないとは思いますけれど笑
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今回このししゃもの話を書くにあたり、ししゃもやカペリンについてネット検索して調べました。
ずっと勝手に、ししゃも&カペリン=子持ちのイメージでいましたが、考えれば当然オスの存在もあるわけです。
しかし売り場に並んでいるのは子持ちカペリンばかり。
オスの皆さんは一体どこへ行ってしまったの?
するとこんな事実が発覚しました。
オスの腹に卵を注入
しているというではありませんか。
お母さんの卵をお父さんの亡骸に…
こう書いてみると、なかなか鬼畜な感じがします。
卵を奪われたかわいそうなお母さんカペリンは今いずこ。
疑問が次から次へと湧いてきたのですがこのまま検索を続けていては日が暮れてしまいます。
どなたかかわいそうなお母さんカペリンの行方をご存知の方、いらっしゃいましたら教えてくださると嬉しいです。
脱線ついでにもうひとつ。
最近スーパーの魚売り場で見かけた、
サバのおなかに明太子を詰めるという、これまた
てめぇの血は何色だ!
な商品も発見。※ケンシロウさんのお言葉を拝借しました←※kanahiroさんにいただいたブクマにて、発言は南斗水鳥拳のレイだったと発覚しました。しかも「てめえらの血は何色だーっ!」と微妙に違う笑 コミックス買ってたのになぁ…お詫びして訂正いたします!kanahiroさん、ありがとう✨
スケソウダラという他人(他魚)の卵をサバさんの亡骸に無理やり詰める悪魔の所業。
美味しいものが食べたいという人間の欲望には限りがないようです。
「そんなこと想像して買ってる人いないから」
「変なこと言わないで?」
そうですね。申し訳ない。
ちなみに、このサバと明太子のマリアージュ、一度買って食べてみたのですが味は忘れてしまいました^^;
平成最後の12月ですが更新は私のペースだとあと1回、もしくは2回がいいところ。
次回は中途半端になっていた、
『北国の花々をつなぐ』
シリーズをなんとか形にして終了させたいと思っています。
お時間がありましたら、どうぞ次回もお付き合いくださいませ☆