北のはしっこ惑星

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『陽殖園 』—日本一変(わ)っている花園— へ行ってきました:前編

先日、前前前回(『君の名は。』感)の記事内にチラリと書いた『陽殖園』という、北海道滝上町の庭園へ出かけてまいりました!

タイトルの、

日本一変(わ)っている花園

は、こちらの庭園のキャッチフレーズ?のようです。

インパクトがありますね!

決してワタクシが勝手に書いているのではありません( ̄▽ ̄)

入り口の少し手前に設置された案内看板


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私が『陽殖園』の存在を知ったのは庭いじりを始めた10年以上前、熱心に読んでいた『MyLoFE(まいろふぇ)』という、北海道に特化したガーデニング本の紹介記事だったと記憶しています。

たしかに変わってる!

でもすごく面白い!

北海道の暮らしをピックアップした『スロウ』という雑誌のガーデン特集(2010年)でも巻頭を飾っており、これは今も大事にとってあります。

左の『MyLoFE』は去年のもの。表紙はどちらも陽殖園

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北海道には個人から大規模な観光ガーデンまで大小さまざまな魅力的なガーデンがありますが、この『陽殖園』さんはひときわ個性的な庭園として、ガーデニング好きには知る人ぞ知る存在です。

園主の高橋武市さんがわずか14歳で「花で生きていこう」と決心し、77歳になった現在に至るまでたった一人で作り続ける『花園』

滝上町の公式サイトに『養殖園』の成り立ちが紹介されています↓

昨今のガーデニングブームの遥か前より、独自のやり方で自然と共生しながら作り続けてきた庭園の広さは、

約8万平方メートル、園路は約5km

この広大な敷地の園芸作業はもちろん、土木作業もご自分でされているそうです。

 

えーっと、実際見たことがないので全くピンと来ないのですが、大きさの比較対象としてよく出される東京ドームの広さを検索してみました。

ウィキペディアよりお借りしました

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ググッと!

 

ほうほう。

46,755平方メートルなんですね、東京ドーム(余談ですが札幌ドームは55,168平方メートル)。

広さの実感がわきませんが倍近いではありませんか、『陽殖園』さんの敷地は!

その広さの庭園をただ一人で維持・管理し、更には現在も作り続けているだなんて、小さい庭をいじるだけでヒィヒィ言っている私には想像すらつきません。

そんな超人の方が作っている庭園をいつか見てみたいと思い10年超、とうとう行動に移す時がやってきました。

常に何かしらの花が咲くように考えられた庭園ですので、オープン期間中はいつ行っても良いのですが、やはり北海道で一番気持ちの良い花の季節は7月。

まずはこの時期に尋ねてみようと。

 

*******

日曜日、早朝6時出発。

朝靄が濃い

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旭川紋別自動車道・愛別ICから浮島ICまでの無料区間を利用して2時間強。

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この道の途中エゾシカに遭うf:id:kapibara5168:20190710144747j:image

目印の看板から緑生い茂る緩やかな坂道を進み、8時過ぎに門の前に到着しました。

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『陽殖園』の開園時間は10時〜17時(入園は14:30まで)なので、そこまで早く来ずとも入園することは出来ます。

 

この時間に来た理由。

それは日曜日の朝のみ行われる、園主・高橋武市さんのガイドツアーに参加するためです。(※日曜ガイドツアーは個人客のみ、団体客は平日に予約制となっているようです)

希望者は8:20までに集合し、受付のあと8:30から開園時間の10時までの1時間半を、高橋さん自らの案内で園内を廻ることが出来ます。

朝露に濡れたクモの巣にさえ期待感を煽られる笑

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まだ誰も来ていない中、駐車場際の植物を見たり注意書きの看板などを確認していると、ポツリポツリと個人やホテルからの送迎の車がやって来ました。

「おはようございまーす!」

やって来た方々にこちらから声掛けして場を温めて(笑)おきます。

これから1時間半、共にこの山を歩く同好の士ですからね!

この日は総勢8名。

本州からの方が2名、道内からは6名(うち2名がリピーター)が参加です。

 

時間になり、高橋武市さんが出て来て門を開けてくれました。

ベージュカーキの帽子に首には豆絞りの手ぬぐいの、朗らかで快活な雰囲気のオジサマです。

まずは受付、名前やどこから来たかなどをノートに記入します。

※以下、高橋さんのお話として「」付きの台詞やその他エピソードが時折入ります。なるべく忠実に書き起こしたつもりですが、メモや録音などはしていないため、仰ったそのままの言葉ではないことをお断りしておきます

 

高橋さんはノートを見ながら、

「今日は道内の人が多いね!いつもは本州からの人が多いから、やっと少しは北海道の人にも知られたかな?」

とニッコリ。

いただいた園内見取り図。これがないと迷子になってしまう!

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熊よけ用?鈴を通したベルト。野生動物よけのためと思われますが、人数把握のためという説(『スロウ』より)もあり。


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高橋さん曰く、なるべく園内の自然のままの音を聴いてほしい、ということで全員がチリンチリンさせると騒がし過ぎるため、数人が鈴を身につけていざ出発です。※ちなみに、まだ一度も野生動物の事故はないそうです。

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受付横にある卯の花(ウツギ)を手に取り、もう終わりかけだけれどね、と言いながら説明してくれます。

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園内いたるところに卯の花があり、

「ほら、微妙に色が違うでしょ?そういうのいっぱいあるけど、見分けつくかなー?オレはつくけども笑」

 

ニコニコと笑い、ダジャレが大好きな(たくさん聞いたんですけどね^^;メモってないんで忘れました)高橋さんのガイドツアーの始まりです。

受付小屋横の通路を抜けると、正面に用水池。

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向こう岸にはヤナギランのピンクと白、エゾクガイソウルピナスアメリカセンノウ(リクニス・カルセドニカ)の花が咲いているのが見えます。

大きなフキの葉っぱも。

ヤナギランは時折見かける野草ですが、背が高く花も大きいので見応えがあります。

ところどころに群生するヤナギラン

f:id:kapibara5168:20190711171922j:imageホザキシモツケバイカウツギ


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ピンクのレースフラワーと木に絡む野ばら


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どこもかしこもシーズンを通じて花が咲くよう計算し、野山の花・園芸種を取り混ぜて植え込まれています。

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そして歩き始めて最初の、私たちが行った時期の大きな見どころとなる場所に着きました。

エゾクガイソウの群生です。

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斜面いっぱいの個性的なフォルムのエゾクガイソウの長い花穂が、天に向かってニョキニョキと。

基本の紫に、白とピンク。

紫の花は他のガーデンでも植栽されていたり、ちょっとイナカの方、時には普通の空き地に咲いていることもあります。

昔、我が家の近所の空き地にも生えていたのですが、いつしか刈り取られてしまいました( ;∀;)残しといて欲しかったけど、興味のない人にはただの変わった雑草なんだろうな…

白も珍しいなと思ったのですが、ピンクのエゾクガイソウは、高橋さんが品種改良したものだそう。

通りで他で見たことがない。。。

ちなみに、今このエゾクガイソウの場所は、春には一面のスイセンの群生だそうです。

 

同じ場所にいくつもの植物を植え込み、季節によりガラリと変える姿は、自然に見えて緻密に計算されています。

ピンクの卯の花の可愛らしさといったら!

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今でこそ園芸テクニックとしてそういった指南をしてくれる本などがありますが、まだ日本でガーデニングなどという概念が希薄だった頃にですよ?

誰に習うのでもなく独自の考えでそれを実践していた人がいたなんて。

このような方をパイオニアと言うのだなと実感しました。

写真を撮りやすいように枝を引き寄せてくれたり…ありがとうございます!薄くピンクがかった卯の花も可愛い

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歩きながら花々の説明をし、時々立ち止まってはその場所を切り拓いたときのことなどをお話してくれます。

 

『陽殖園』を作ろうと思い立ったいきさつは、本やTVでも明らかにされていますが、ご本人の口からも聞くことが出来ました。

 

農家の長男に生まれた高橋さんは子どもの頃から水汲みや野菜売りなど、家業の手伝いをされていました。

「オレは長男だからさ、いくら子どもだっていったって一番年上なの。母親が水汲みしてたけど、赤ん坊産んだら動けないでしょ?だからオレが水汲みをしたんだよ」

子どもの時に水汲みに通った下り坂。写真で見るより斜度があります。

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今は役目を終え、静かに水をたたえるかつての井戸

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「町に野菜を売りに行くの。家で作ってる野菜から、形のいいのを選んでね。

で、ある日家のレンゲツツジの枝を3本、野菜の籠に挿して歩いてみたら、それが背中にしょってる野菜全部より高く売れて。

花って高く売れるんだなぁって。

で、その時オレは、花で生きていこうって思ったのよ。」

 

それが、高橋さんが中学2年の14歳の時。

それから自宅の周りに少しずつ花を植え続け64年、紆余曲折の末、現在の『陽殖園』の姿となりました。

赤いナデシコで吸蜜する蝶。んー、エゾシロチョウ(レタラ-マレウレウ)に似てるけど、少し黄色いですねぇ?

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…さて。

やはりというかなんというか。

最初は何とか一回の記事に収めたいと思っていたのですが、

やっぱり無理。

私の記事をまとめる力量不足もありますが、『陽殖園』さんのお話を一度でサラリと書き終えるのはあまりにもったいない。

ということで、すみません!

次回に続きます!!

 

我が家の庭もいろいろと咲いてきましたので、もしかすると一度、我が家の庭の回を挟むかもしれません。

グウタラな私のこと故、その時になってみないとわかりませんが、

「トビーさんのいつものこと」

としてお許し願えたらと(‐人‐)

「グウタラが基本なのがそもそも問題」

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まあね…

 

『陽殖園』さんのことは、写真と記憶をキッチリ照らし合わせて書かないといけませんからね。

しっかり頭を働かせて書こうと思っておりますので、何とぞ次回もよろしくお願いいたします!

あ。

前前前回の記事の中に、園主・高橋武市さんの本の商品ページを貼ったのですが今現在、新品の本を定価で手に入れようとすると難しいようです。

中古本が定価の何倍もの値段で売られておりました💦

もし興味があって買おうと思った方がいらっしゃいましたら、お詫び申し上げます。何を隠そう、私も持ってないのですw

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それでは皆さま、また次回に♪