新年度は耳鼻科から(前編)
3/31、朝起きると右耳に何やら違和感を感じました。
高い山に上がった時や潜水した時に感じる、耳に圧力がかかる感じ?
いや、もう少しマイルドかな。ボワーンと詰まって音が遠い。
うーん?
まぁそのうち戻るでしょ!
痛みや耳鳴りなど明らかな異変は感じなかったので、この日はしばらく様子見をすることにしました。
とうとうコチラにも春の気配が
翌日4/1、今日から新年度。
右耳の調子は?
…うーん、変わらない、感じかな?
いや、昨日より若干聞こえる左右の音量に違いがあるような?
ないような。
テレビの前でクルクルと身体の位置を変えながら聞こえ方を確認する。
左側クルリ。
普通だね、けっこうけっこう。
右側クルリ。
…明らかに音量低いな。
片側ずつ指を突っ込んで聞こえ方を確認してみると、左が特にいつもと変わらないのに比べ、右は扉を閉めた隣の部屋でラジオが甲高くカシャカシャと鳴っているよう。
えー、ヤダー悪くなってる〜?(ノ´д`)
病院行くのめんどくさいよー。
あと1日くらい様子見てもいい?
朝のルーティンの簡単な家事をしながら往生際悪く様子見をする。
洗面所へ行くと、右耳側のリビングでつけっぱなしのテレビの音が風呂場の方(左耳側)から聞こえてきます。
音の方向がわからない。
どの音も左側からしか入ってこない。
「さっさと行きなよ。もうオバサンのカラダなんだからさぁ。ちゃんとメンテナンスしなさいよ。」
えっ、だ、誰スか?
まりちゃん!?
「違います」
仕方ない。内なる声に従って重い腰をどっこいしょ。
行きつけの小洒落た耳鼻咽喉科がないので、ここはひとまずGoogle先生にアドバイスを請うことに。
というかワタシ、人生で耳鼻科って行ったこと一度もなくない?
今年の旭川は雪が少なめだったので庭の顔出しが早い
ポチポチ…『耳鼻科』
あ、近いとこ。見たことある。
クチコミは、っと。
総合評価☆2点台半ば。見た感じ2/3以上が1と2。
…まぁ、クチコミも気に入らないと大袈裟に悪口書く人もいるしね。
どれどれ。
ちょっと読んでみよう。
↓
↓(以下複数コメントより)
『こんなにふざけた医者は初めて見た』
『今思うと警察呼んで介入してもらった方が早かった』
『本当に資格を持っている医者なのか』
『受診するにはコツが必要。上手に機嫌を取らないと怒る』
『他のレビューにもあったがとりあえず全部蓄膿なのか』
※少々クチコミの表現を変えております。
飲食店の評価に多いですが、こういったクチコミは無理筋なクレーマーなどの声で必要以上に悪い評判になっている場合があるので、あまり鵜呑みにしないようにはしています。
近いし。
だけど。
やっぱりヨソ行っていい?( ˙-˙ )
あまり遠くないいくつかの病院を検討した結果、クチコミ数は少なめだけど評価が高い昔からある小さな耳鼻科を選び、善は急げと昼過ぎに出かけました。
しかしここでちょっとした落とし穴。
Googleさんのページの診療時間は昼休みが記載されておらず、ひょっとしたら通し?ラッキー!と急いで行ったのですが、着いたらしっかり昼休みでした。
まぁそうよね。小さい病院だし。
先生や職員さんだってしっかり休まないと疲れちゃうよね。
午後の診療は…14時から。あと1時間以上あるなぁ。
肌寒い日、座っていた場所をちょっと離れて戻ったらのんのさんに全てを奪われていた
「だって私の毛皮、薄くて寒いんだもん」
少し行ったところに本屋さんがあるのを思い出し、そこで時間を潰させていただくことにしました。
立ち読みで申し訳ないけど、時々は買ってるから今日はスンマセンと思いつつ家庭医学書のコーナーへ。
せっかく時間が出来たんだし、症状の予備知識をちょっとでも入れときましょうかね。
耳鼻科関係の知識はほとんどないですが、字面がそのものズバリの『突発性難聴』ではないかとアタリをつけて読み始めます。
ほうほう。
「聴力は落ちたまま放置すると、約1ヶ月ほどでその状態で固定されてしまう」
「1週間以内、出来れば48時間以内に治療を開始するのが望ましい」
あっぶね!!(`ロ´;)
知らないでいたら様子見したままウダウダと時間を過ごしていたかもしれません。
そして読み進めるうちに、今回右耳の調子が悪くなる10日かそこら前に頭痛があったことを思い出しました。
場所は右後頭部。普段のワタシは頭痛持ちでもなく、痛くなったとしてもソコソコ。
それがちょっと珍しいくらい痛んで七転八倒、右後ろアタマの血管大丈夫!?と思うような激痛だったのです。
ロキソニンを飲んで耐えているうちに何とか復活し、その後は次の日まで鈍痛が残る感じでしたが、喉元過ぎればなんとやら。
それを思い出したら、そのあとの日にも右下瞼が異様にピクピクするという症状もあったことを芋ヅル式に思い出し。
アレ?みんなアタマの右側じゃん?
アタマの中の問題だったりしない?
えー、やだぁ(;´Д`)
と、少しばかり不安が増しましたが、偶然に出来た時間の余裕のおかげで思い出した諸々を診療でしっかり伝えられると考えたら、これはGoogle先生の落とし穴ではなく思いやりと言えるかもしれません。
そろそろ午後診療が始まるので、Google先生と本屋さんに感謝しつつ再び病院へ。
人生初の耳鼻咽喉科へGO!!✨
こじんまりとした病院は建物は古めですが掃除も行き届いて職員さんも優しそう。
ワタシが午後最初の患者のようです。
簡単な問診票を書いて待っていると間もなく呼ばれ、診察室に通されます。
ちょっと暗い。
落ち着いた感じの先生はワタシよりもいくらか年齢はいってそう。やや小柄だけど白髪もなく、ダンディと言って良いのではないか。
そんな余計なお世話なことを考えながら、よろしくお願いしますとご挨拶。
どうぞと勧められた先生の向かいの椅子は、なかなか年季の入った合成皮革張りの医療用リクライニングチェア。
サイズも小さめで、新しい歯科などで見かけるような豪華なタイプではありません。
周りには何の器具や道具かわかりませんが、おびただしい数の先生の武器がズラリと並んでいます。
「武器なの?」「そう、先生の武器」
先生は丁寧かつ矢継ぎ早に、現在の症状、それについての心当たりがないか、持病やアレルギー、コロナワクチンの接種状況、肝炎ウイルスの有無、家族に耳鼻科的な疾患がある人はいないかなどについて質問を繰り出してきます。
「頭をどこかにぶつけたとか誰かに強く叩かれたとかありませんか?」
おっと!
ここは明確に否定しておかないと家庭内DV疑惑をかけられてしまいそうです。
家人の名誉のためキモチ大きめの声で、ないです〜!と否定。
その後、ではレントゲンと聴力検査をしてきてくださいと言われ、看護師さんに誘導されて別室へ。
小さな部屋ですが、ここでレントゲンと聴力検査を一気にするようです。
まずはレントゲン撮影から。
- 頭部レントゲン3枚(前・両サイド)
- 耳を板にペタリとくっつけた状態のレントゲン左右それぞれ1枚ずつ
それが終わるとすぐ横のテーブルに置かれたふたつのヘッドホンで聴力検査の流れです。
『純音聴力検査』『骨導検査』が行われたようです。
音が聞こえたら握っている送信用の器具のボタンを押します。
いくつかのパターンの音を検査員の方が手動で流し、だんだん小さくしてどこまで聞こえるかという検査です。
ピー。(聞こえる、ヨシ)カチッ!
ピー。カチッ。
ピー。カチッ。
ピー…(聞こえるかも)カチ。
…ー(聞こえる…ような聞こえないような)
集中して聞いてはいるのですが音が小さくなるにつれ、だんだん本当に聞こえているのか気のせいなのか、自信がなくなってきました。
というか、何げに扉の向こうからパタパタと歩く足音や患者さんを呼ぶ声なども聞こえ、ワタシの集中力がピンチ。
きっちりとした防音室ではないのね。
この病院は交通量の多い大きな道路沿いにあり、建物が小さいせいか近くを通る大型トラックや救急車の音や振動が、部屋の扉を閉めていてもけっこう聞こえてきます。
心を鎮めろ。
頑張れワタシの集中力。
聞き取りが微妙な時は、んんん?みたいな顔をして頭をかしげると、検査員さんがちょっと音を戻して「これはどうですか?」と聞いてくれるので、「聞こえる、ような気がします!」と、曖昧な返答をしながら何とか無事に検査は終了。
骨伝導の検査は初めてだったので面白かったです。
検査が終わり再度診察室に通されると、検査結果が記載された紙ペラを示しながら先生がひと言。
「難聴ですね。」
でしょうね。
「というかトビーさん。今回のことだけじゃなく、もともと難聴です。大丈夫だと思っている左耳も。」
「え?( ´∀`)」←難聴
アナログなレントゲン写真を見ながら説明してくれる先生。
「頭のレントゲンは初めてですか?中耳炎何回かやってますね?」
ワタシ、自分で覚えている限り中耳炎になった記憶ないんですが???
そう言うと先生曰く、1〜2歳のものごころついてないような小さな頃に中耳炎をやっていて、そのせいで骨が(どこの骨かは不明)発達していない、とのこと。
へえぇ。
その骨の未発達のせいで、実は難聴の範囲のヒトなのに気づいてなかった、ってことなのかしらん?(先生との質疑応答に忙しくて確認してない)
今回こうなってみるまで、こんな大事なことを人生の後半に入った今の今まで知らなかったなんてねぇ。
自分的には聞こえに不自由も不満も感じたことはなかったけれど、世間の人にはもっといろいろな音が聞こえていたのか。
ちょっと残念な気はするけれど初めて知った自らのカラダの秘密に、おめでたいことでもないのに何やら新鮮なワクワクした気持ちすら湧いてくる不思議。
「会社での聴力検査は引っかかったことなかったんですが。」
「会社でやるようなのはここまで調べないですからね。高音域のこの辺りくらいまでしか検査しないんです。トビーさんはこの高音域が比較的保たれてるから引っかからなかったんでしょうね。でもそれでも難聴ですよ。」
先生が見せてくれる紙ペラに印字されたワタシの数字のグラフは、健常を示す太い横線のひとつ下の細線の、更にもう少し下。
グラフ左側の低音域を表す部分はグンと低い。ワタシの難聴は低音域がポンコツ、と心にメモ。
アタマの中のデキモノや血管がどうこうのの心配は、
「難聴から見つかる脳腫瘍とかもあるっちゃあるけど、今もう痛くないならまだ様子見で大丈夫だと思いますよ。今は難聴から治しましょう。右耳の低音域の数字、70(dB)です。」
「えーと、その数字って悪いんですかね?」
「悪いです。」
ずっと話を聞いていると、先生は曖昧な表現はしない主義のようです。
早口だけど説明はしっかり、情報量が多く、こちらの質問にも迷いなく答えて話が早い。
変な意味ではなく好みのタイプの先生。
近くの恐ろしいクチコミのところへ行かなくてよかったよ。
「今はすぐクチコミに書かれちゃうからコワイねぇ」
「で、めまいや耳鳴りはどうですか?」
自覚はなかったので、ないです!と力強く答えたあと、ではちょっと診てみましょうと先生が立ち上がり、自らワタシの座る診療椅子を慎重に手動で倒し(自分でヨイショヨイショと椅子を倒す先生を見ながら「古いからやっぱり電動じゃないんだな…」と余計なことを考える)素早く黒い布?が張られた長方形の謎の物体を、これは何だろうと思う間もなくワタシの目の上からカパッ!と。
その途端、
「あー、回ってるね。回ってる回ってる。」
自分が何をされているのかわからないワタシは???となって無言。
回ってるとは?
周りの看護師さんとかに別の用事で話しかけてるのかな?
今考えればそんなアホなことはあるはずもないのですが、キョトンと無言無反応なワタシに気づいたらしい先生は、
「めまい、起きてますよ。今も。」
………?
…………………!
「ええっ、ワタシですか?ワタシが今、めまい起こしてるんですか!?」
この状態で他人の話である訳がないので先生はきっと(何言ってんのこのヒト…)と思ったに違いありません。
なるほど、めまいを調べていたのか。
後から調べでは、赤外線CCDカメラを内蔵したゴーグル、あるいはメガネらしい。コチラからは真っ暗で何も見えないが、先生からは眼球の動きがバッチリ見えるスグレモノ。
めまいがある場合、明るいところでは目立たなくても暗い場所では瞳が振り子のように揺れているとか。
「うん、揺れてる揺れてる。めまいの自覚なかったですか?」と右に左にワタシの頭を倒しながら、ようやく事態を飲み込んだらしい患者に安堵する先生。
自覚がなかったということは軽度なのでしょうが、たしかにワタシは普段から立っている時などちょいちょいバランスを崩したりします。
運動不足で筋力もないから体幹が弱いんだろうな〜、なんて勝手に思っていましたが、もしかするとめまいのせいだったのかしら?
赤外線CCDカメラのあとは先生の持つペンの先を目で追う検査をし、そしてようやく本日のメインイベント、正式な病名発表です。
「とりあえず今現在つける病名としては突発性難聴ですね。」
とりあえず、というのは今後の状態によってはメニエールとか別の病名になる可能性もあるので、今日のところは広義な意味での突発性難聴。
処方された飲み薬のステロイドと抹消神経障害・血流改善薬、胃薬、めまい用の顆粒剤を最寄りの調剤薬局でもらって帰宅しました。
9日間服用して良くなれば終わり。
ダメならもう一度9日間。
それでもダメなら更に9日間服用。
トータル27日間(大体1ヶ月)で改善しなかったら、もうそれ以上は期待出来ないんですって。
デリケートな器官ねぇ、もう!
まぁもちろん良いことではないのだけど、耳鼻科は人生初体験だったし、自分の知らなかった自分のカラダを知れて正直ちょっと面白かったです。
危惧するのはただひとつ。
服薬中の晩酌問題。
やっぱりやめた方がいいよねぇ当然。
でも9日間も飲まないとか、成人してから初めての事態だぞ…。
やれるのか、オイ!
偉大なプロレスラーの言葉が頭に響き渡るなか次回(後編)に続く。
※ちなみに、飲まないに越したことはないがステロイドとアルコールは禁止ではないので少量・時間をずらしてならまぁ…という飲兵衛に都合の良い情報を掴んでおります。おほほ。